1.地盤の工事

建物の重さはすべて地盤に載る。そのため、地盤の安定は建物と同じくらい重要です。不安定な地盤の上に建てれば、どんなに丈夫な建物も沈んだり、傾いたりすることがあります。特に起こりやすいのが、不等沈下です。不等沈下とは、建物が載る地盤の一部分のみが沈下し、建物が傾いてしまうことを指します。

たとえば、私たちの住む西尾市は河川に恵まれた平野部です。河川で運ばれてきた土砂が堆積した地盤が多く、強固な地盤とはいいがたい場所も多いです。長く住み続けられる家を建てるためには、入念な地盤調査が必要です。数多くの調査方法がありますが、古くから人が住むエリアの木造2階建てまでなら、私たちはSWS(スウェーデン式サウンディング)試験を採用しています。

SWS試験は、建物の建つ地盤のバランスを確認する調査です。「地盤調査=地震の際に家が壊れないようにするための調査」と思われることが多いのですが、SWS試験は不等沈下をおこす恐れがあるかどうかを調べるものです。

新しくお家が建つ敷地に実際にスクリューを打ち込んで地盤の硬さを測る調査方法です。建物の四隅と中央部、最小限5箇所を調査します。深度は10mまで延長することが可能です。十分な地盤の硬さが確認できれば調査を終了します。この調査法は、調査員が現地での打ち込む感触までを記録し、地中内のニュアンスを調査結果に反映するので信頼性が高いです。

調査の結果を踏まえて、必要に応じて地盤改良を行います。改良工事の手法としては、砕石改良工事をお勧めすることが多いです。砕石改良工事は、基礎床版部分の下に30~40cmほどの穴を開けながら、西尾市であれば吉良町や幡豆町の採石場から入手した砕石を転圧しながら入れていきます。砕石の柱を地中に作るイメージです。

この地中の砕石の柱は、水を通すため浮力を生じさせず、液状化現象にも有効との報告があります。また、将来解体時に、地中に産業廃棄物を残さないという点において、環境負荷が少なく、無理のない工法だと思います。

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