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無垢材と新建材のメリットデメリット(外壁編)

無垢材と新建材のメリットデメリット(外壁編)

「無垢材は傷が付きやすくて、お手入れも大変です。新建材ならそんな面倒もなく、おススメですよ」
「デザインも豊富でイメージ通りのお住まいをご提供できますよ」
ハウスメーカーさんや工務店さんを訪れた際に、このようなことを言われたことはありませんか?

それは間違いではありませんが、それだけがすべてでもありません。
求める家の耐久性や、費用、イメージ、メンテナンスサイクルは、家を建てる人によっても
それぞれ違ったご要望をお持ちではないかと思います。

その時、選択を間違えてしまうと、後悔することもありますのでよく検討されることをおすすめします。

新建材を使用するメリットとデメリット

新建材の素材は多様で、化粧板、塩化ビニールやポリエステルやプラスチックで作られているため加工がしやすいのが特徴です。
傷も付きにくく、汚れもつきにくいこともあり水回りなどで特に需要があります。
無垢材と違って施工しやすい為、工期が短くすることができるのでコストメリットもありますし、職人さん不足の昨今では技術の習得が難しくないので専門スキルの無いところでも同じクオリティの施工ができることが安心材料となると言えます、

新建材のメンテナンスサイクルも商品によって違います

メーカーの上げているメンテナンスサイクル表です(ニチハ株式会社HPより)

一番お値打ちな外壁材を使用したばあいですと10年に一度は塗り替えが必要ですし
張替えも30年ほどとほかの物に比べると費用が掛かることが分かります

一番高価なものにした場合は40年で塗り替え、もしく張替えとなっていますので
仮に50年家を使用しようとすると、必ずと言っていいほど何かしらメンテナンスがかかります

イニシャルコストを抑えるために選んだ外壁材は、もしかしたら10年後、20年後のメンテナンス費用をかけることで
高価な商品を選んだ時の金額を超えてしまうかもしれません。

家を保って行くために、そのようなランニングコストがかかっていくことを聞いた覚えはあるけれど
それほど重大に考えずに、忙しい家づくりの中で忘れてしまう人もいます。

メンテナンスをしないと、雨漏りなどで家の内側にまで被害が及ぶ場合があります、と言われてもそれがどれほどのリスクになるのか
完成した後に見えなくなってしまう部分に無頓着になってしまうのは仕方のないことですが、水の侵入は外壁材の痛みだけではなく
中の柱や断熱材を腐らせてしまい、家自体の劣化に繋がり、それが耐震性などが低下する原因となります。

商品を選ぶときは、好みも大切ですが素材による特性を検討してからするとよいです。

自然素材で使われる外壁材(ガルバリウム鋼板)

自然素材使われる外壁材で人気のある「ガルバリウム鋼板」

こちらは、メッキ加工が施されているため汚れやほこりに強く、窯業系サイディングに比べるとパネルのつなぎ目での
シーリング切れのリスクが少ないためメンテナンスが比較的少なく長持ちするということで人気のある素材です。

こちらも同じくメーカーの推奨のメンテナンスサイクルがあります。
メッキ加工されているとはいえ、紫外線等による劣化に対してグレードによって塗り替えが必要なものとなります。

鉄なので、錆などに影響をうけるため、塩害地域では保証外となりますし実際海の近くでは3年で穴あきの被害があったと報告があります。メンテナンスは点検をして必要な時期にしなくては、やはり長持ちは難しくなるので注意しましょう。

もちろんつなぎ目が少ないとはいえ、まったく無いわけではないのでシーリングの点検、補修は必要ですのでそちらも合わせて気を付ける必要があります。

定期的に点検をして、必要箇所を補修や、塗り替えは必要となりますので専門業者に依頼をするための費用は家が完成した後も、しっかりと備えていただく必要があります。
また40年~50年ぐらいで張替えも必要となるため、住宅ローンが終わり仕事をリタイアするタイミングの人も多いと思いますが、老後に備えて修繕費をしっかりと蓄えておきましょう。

自然素材で使われる外壁材(板外壁)

最近、少しづつ理解が深まり人気のでてきた「板張り外壁」
日本では、昔から使われていた杉板が一番多く使用されていますが、一見、一番メンテナンスが大変そうという感想を聞きます。
木というと腐る、割れるというイメージが浮かびやすいのが原因だと思われますが、実の所歴史もながく古い神社などをみても
分かるように、長期にわたり存続しているのもまた、板の特徴と言えます。

もちろん、日当たりや湿気の多い箇所は腐ったりするので交換が必要になり場合もありますが、実際はそのメンテナンスサイクルは
上記に出てきたものに比べて短いかというと、そうではありません。

自然素材なのでメーカーの指定の塗り替えサイクルがあるわけではありません。実際、点検をして気になる部分は補修をしたり
張り替えたりする必要があります。

雨漏りに対するシーリングのやり替えなどは、上記素材とほとんど同じです。
板材に関しては、大きく割れや抜けが無ければ、下地にある防水が家を守ってくれているので点検をしてください。

サイディングとの違う点として、サイディングは基材自体を塗装で守っているので塗装が切れると外壁材自体が痛みます
板の場合は、濡れても乾けば良いので乾燥状態に気を付ける(土地の条件によっては使わないようにする)必要がありますが塗装が切れても板自体の急激な劣化とはなりません。しかし、自然素材のため特性を知り、説明書などが無いものに対して工務店などに相談して
判断していく必要のあるものだということです。
慣れてしまえば難しいことはないので、点検をしていて問題がなければ例えば20年とそのまま塗り替えをせずに過ごすこともできるでしょう。ある意味ノーメンテ商品!と言う会社もいるのは、そういう理由からだと考えます。

新建材だからとか、自然素材だからということはなく、どんなものを使っても愛着を持って自己管理をしていくことが必要という事に、他なりません。

一番注意が必要なのは、素材より施工方法だった

今回は素材のお話しではありますが、同じ素材を使用していても施工方法によっても家に与える影響が大きいです。

外壁は、最初の方でお話しした通り、雨や風から家を守る外皮にあたります。木造なら外壁の中にみえなくなってしまう柱や梁、土台のところに外部から水が浸入してしまい、上手く水が抜けない場合にそこに長期に水に塗れた状況にしておくと腐朽菌やカビが発生し木材を腐らせてしまいます。

ですので、イシハラスタイルでは2次防水に対して特に気を付けています。
2次防水がしっかりしていれば、雨漏りはしないといっても過言ではありません。
この2次防水というのは、外壁材やシーリング材を1次防水と言い先ほどからメンテナンスをしっかりとしましょうと言っております素材のことなのですが、さらにその下にある防水シート等のことで
この下地となる防水シート(実際は透湿防水シート)を水の侵入を防ぐように下から順番に貼ったり
つなぎ目を指定のテープで何十にもとめたり、屋根との取り合いのところは捨て水切りをうったりします

ですので、この2次防水が切れない限りは家はラッピングされているため、外壁の1次防水に万が一があっても、躯体に影響はないということです。

しかし、こちらもシート状のものであるため、施工方法によっては破れたりしてしまうこともあったりします。
実際、外壁の張替えの相談に伺った時には、外壁の割れに対してシートがくっついて破れてしまっていて結局柱や土台まで腐っていたということがありました。
ご本人は外壁メンテナンスという軽い気持ちだったけれど、安全性が確保できないお家のままではいけませんので補修工事のご提案をさせていただきました。

一般の施主がそこまで知り得ることは難しい、施工の方法の違いによるリスクのお話しになりますが、信頼できる業者を選ぶこと、まずはそれが一番大切なことだと思います。