据置の浴槽を使ったお風呂をお勧めする理由

タイルを使ってお風呂を作っています。在来浴室ということもあります。
現在ではユニットバスといって、言葉通りユニット化されたプレハブのような造りをしている浴室をよく見ます。
それぞれにメリットとデメリットがあり、どうしてイシハラスタイルが在来浴室を作るのかをお伝えします。






現在、9割近くのお客様のお風呂がこのような浴室となっています。
在来浴室のメリット
タイルで囲まれた浴室は、雰囲気が落ち着いていて質感が良いです。壁は直接触れることはありませんが実際に目で見ると新建材にはない味わいと深みを感じます。温泉やホテルなどのラグジュアリーなスペースでは、高級なお部屋であれば必ずといっていいほどタイルが使用されています。逆にお値打ちな料金のお部屋にはユニット形式のバスが使われています。
毎日使用する場所であるほど、質感のよい素材を使うことで上質感を味わうことができます。
なによりのメリットは、長い間質感を損ねることがないこと。経年での劣化が少ないタイルを使用すれば、保証期間が10年という短い耐用年数の設定であるユニットバスよりも、長持ちさせ使い続けることができます。
お掃除がしやすい
気になるお手入れがしやすいところもメリットです。写真でもお分かりいただけるとおり、お掃除部は床、壁、浴槽と見えている部分のみです。床と壁は平面で凹凸も少なく、タイルは基本的に釉薬がかかっており汚れが付きにくいものです。
気になる目地の部分は、お風呂用でカビの発生しにくく、汚れの付きにくいLIXILの内装用防汚目地材スーパークリーンバス・トイレを使用し、疎水性のあるものを使用しています。
ブラックボックスが少ない
修理の面も、設備機器を最小限にすることで取り換えも簡単にできます。
排水は一か所に絞り、浴槽の排水はゴム栓を抜くと床に流れるようにしていますので、お湯を抜いた後に浴槽を洗い床を水で流していただくだけ。
シャワー水栓、お湯張り水栓も国内のメーカーを使用し、壊れにくく耐用年数が終了した後交換が簡単にできます。
浴槽自体は、鋳物ホーローですので汚れが定着しにくく毎日の通常のお手入れで特別なお掃除は必要ありません。
浴槽の下側を気にされる方もいますが、脚で浮いていますので気になった時にブラシ等も手が届きますし、薬品等をご使用いただいても大丈夫な素材です。大掃除をする際には浴槽を移動させてお掃除されているお客様もいます。
汚れがついても手がつけられないところを排除し、しっかりと管理ができるのがメリットです。
追炊き配管も無くせる、足し湯もできる
浴室のシステムの中で便利だとされる、フルオート給湯機を一番にお勧めすることがありません。
フルオート給湯機とは、「自動湯張り」「自動温度調整」「自動湯量調整」などが付いた上位の給湯機で高額なものになります。選択をすることもなく付いていることがありますが、実は値段も高く機器を交換する時も費用が高くなります。
イシハラスタイルでは、一番お値打ちな給湯機で「給湯専用」をお勧めしています。まさにお湯を沸かすだけの給湯機で、機器自体も一番お値打ちなものになります。
しかし自動でお湯張りができないと、お湯を止めるのを忘れてしまいそうというお声があります。私もその昔お湯を張りっぱなしで2時間放置してしまった経験があり、自動でお湯が止めいたいと思います。
そこでお湯張り用の水栓で自動止水するものを計画にいれています。
【定量止水栓】

こちらで、お湯を足したり、お湯がぬるくなった時に熱いお湯を足すことができます。サーモスタットもついているので、お子さんでも安心して使用できます。
自動ではできませんが、お風呂で必要になることは全部できます。
寒くないのか?
よく質問いただく、実家のタイルのお風呂は寒いのでヒートショックが心配というものです。
これは、家のリビングなどと同じく断熱をほどこしています。家の断熱性能をしっかりと保った浴室はリビングなどの浴室以外のお部屋と同じ性能になります。温めた空気は逃げにくく浴室だけ寒いということはおきません。
タイルの表面温度は、スギなどのフローリングとくらべてひんやりと感じることはありますが、断熱をしていない住宅のそれとは全く違ってきます。
冬に寒いと感じる方の多くに、窓を開けた換気をされている方がいます。
窓を開けてしまうと、冬の外気温と同じになってしまうのでタイルも冷えてしまいますので浴室では特に窓を開けての換気を避けて換気扇を使用しましょう。気密の良い住宅ではしっかりと乾燥をしてくれますのでご安心ください。
在来浴室は後にユニットバスに変更するリフォームは費用が掛かる
万が一在来浴室をユニットバスへとリフォームすることがあれば、タイルを斫り工事で撤去する必要がありますのでユニットバスからユニットバスへの交換よりも費用がかかります。
基本的にタイルや目地の劣化によりメンテナンスをすることが不可能になる場合を除いて、浴室を大きくリフォームする必要がないため、在来浴室では全室での取り換え工事は必要ないため、使い続ける場合は機器の交換等での修理でお使いいただけます。
一方ユニットバスの交換は平均20年~25年程度で行われています。80年使用すると2回ほどはリフォームが必要となりますので、簡単にできるとはいえ費用は一回で100万円程度必要になると考えられます。
(実際はユニットでも浴室の交換のみで簡単にできるものではなく、入口ドア枠等の建築の工事も必要となるため)
老後も安心の据置浴槽
据置浴槽にしたとき、非常にメリットだと思ったのは浴槽が撤去できることです。老後の心配する方は多くてバリアフリーについて聞かれることも多いですが、据置浴槽とはいえユニットの浴槽と大きさは同じです。跨ぎ高さも同じで健康な方なら高齢の方でもお使いいただいています。
介助が必要な状態になった時のご心配もされますが、据置浴槽なら浴槽のみを入れ替えることができこと、配置を変えることができる、また必要なくなれば撤去しシャワーのみで利用も可能です。
これほどバリアフリーな浴槽は他にない、と思います。
イシハラスタイルではさらに、木の浴槽も展開しており、こちらはサイズを調整することも可能。
その方に合わせて浴槽を作ることで、安心な老後をおくることができる。そう考えています。

コンパクトな住宅こそ欧米スタイルの浴室があう


浴室はリラックス空間として、もっと自由にゆったりとしたスペースで作ることもできます。一日の中でゆっくりとリフレッシュするためには狭い空間より広々として、素敵なインテリアに囲まれたスペースで過ごしたいものです。
コンパクトな暮らしに、水回りをぎゅぎゅっと集約することで広く使えることができ、スペースを使わずに広々として感じることが可能になります。
日本には個々の住宅に浴室が使われるようになってからの歴史が短く、ユニット化されたものが一般的になってしまっていますが、欧米では「バスルーム」といったらこんな感じ。
しっかりと体を洗うために、別でシャワールームを設けるのも得策ですね。体を洗うためのスペースとゆっくりとお湯につかるスペースを分けることで、家族での渋滞をさけることもできますし、お掃除もシャワーブースの方が楽にできると思います。
既成概念に囚われず、本当に使いやすいお家を考える
お風呂はこういうもの、という既成概念が家づくりに弊害になることもよくあります。カタログから選んで組み合わせたものも注文住宅だと思われていることもあります。そのラインから外れてしまうと費用が高額になると勘違いされることもあります。
しかし、実際は長持ちする作り方や、商品を使うことで必ずしも住宅費用がかかるわけではありません。
まして、住宅の断熱や気密性能が上がり浴室もあたたく作ることができるようになった現代では、欧米のようなバスルームスタイルが増えていくかもしれません。
イシハラスタイルでは、広い視野で建築と向き合い、真に使いやすくシンプルであること、お手入れや修理ができるような家づくりを目指しています。見た目のカッコよさは二番目だと言ってよいと思います。結果的に素材感や上質感が生まれてスタイリッシュに見えているのだと思います。
長期優良住宅に適用が難しい
現在の長期優良住宅の指針に合わせると、在来浴室の認定が非常に困難です。理由は配管が埋設だからです。
床下の配管がチェックできると言う面において、埋まっていることで認定してもらえません。
実際、屋外の配管も点検口以外は埋まっているので、ごく短い距離での配管が埋まっていることでのデメリットは少ないと考えますが、これは抗えませんのでどうしても長期優良住宅の認定が必要な方にはユニットバスをお勧めします。